かつてムジャキな子供だった人達への童話18【電子書籍】[ 川崎 キヨ ]

＜p＞＜strong＞おばあちゃんが教えてくれたこと＜/strong＞＜/p＞ ＜p＞8歳のぼくに、おばあちゃんは教えてくれた。
＜/p＞ ＜p＞たくさん教えてくれた。
＜/p＞ ＜p＞やさしく教えてくれた。
＜/p＞ ＜p＞どうしておばあちゃんの顔にシワがたくさんあるのか。
＜/p＞ ＜p＞どうしておばあちゃんの腰が曲がっているのか。
＜/p＞ ＜p＞どうしておばあちゃんは早起きなのか。
＜/p＞ ＜p＞若い頃に戻りたいか。
＜/p＞ ＜p＞その他、たくさん教えてくれた。
＜/p＞ ＜p＞そして、生きる、ってことも。
＜/p＞ ＜p＞生まれてきた意味も教えてくれた。
＜/p＞ ＜p＞＜strong＞ぼくは絶対眠ってない＜/strong＞＜/p＞ ＜p＞ぼくは絶対眠ってない。
＜/p＞ ＜p＞ホントだよ。
＜/p＞ ＜p＞眠れるわけないじゃないか。
＜/p＞ ＜p＞みんなが大変なこの時に。
＜/p＞ ＜p＞みんながせっせとがんばっているのに。
＜/p＞ ＜p＞眠れるわけがないよ。
＜/p＞ ＜p＞まったく……。
＜/p＞ ＜p＞＜strong＞私、音楽になりたい＜/strong＞＜/p＞ ＜p＞ある国に、とてもきれいなプリンセスがいました。
その美しさといったら、誰もが時間を忘れてみとれるほどでした。
＜/p＞ ＜p＞そんなプリンセスが何よりも大好きなことが、フルートを吹くこと。
＜/p＞ ＜p＞特に夜、ベランダに立ち、星空をながめながら吹くのが一番の楽しみでした。
＜/p＞ ＜p＞プリンセスが奏でる音色はとてもきれいで、それを聴いた城の人たちはもちろん、国民、そして森の動物や小さな虫までも、みんなが幸せな気持ちになりました。
＜/p＞ ＜p＞そんなある夜、プリンセスがいつものようにフルートを吹いていると、美しい歌声が聞こえてきました。
＜/p＞ ＜p＞その声の主は、プリンセスに恋した城の門番の兵士でした。
＜/p＞ ＜p＞2人は次の日も、その次の日も、2人だけの音楽を楽しみました。
＜/p＞ ＜p＞ところが……。
＜/p＞ ＜p＞＜strong＞虫たちの演奏会＜/strong＞＜/p＞ ＜p＞ぼくはお盆に家族といなかに住むおばあちゃんの家に行きました。
＜/p＞ ＜p＞するとね、おばあちゃんが庭の草むらで、輪切りにしたナスやきゅうりをくしざしにして、地面にさしていました。
＜/p＞ ＜p＞「おばあちゃん、何してるの？」．．．楽天市場のショップで商品詳細の続きを見る