ヤマケイ文庫 アラシ 奥地に生きた犬と人間の物語【電子書籍】[ 今野 保 ]

＜p＞「アラシ、どこへ行く」と呼びかける私の声に見向きもせず、アラシは沢に架かる木の一本橋を渡って対岸へ走り、たちまち視界から消え去った。
＜br /＞ こんなことは今までのアラシにはなかった。
”もしかして、このまま帰ってこないのではないか。
”　私は何故とはなしにそう思った。
＜br /＞ （本文「アラシ」より）＜/p＞ ＜p＞川で溺れかかった今野少年を救ったクロ（1）。
＜br /＞ 嵐の夜に迷い込んできた山犬・アラシとの絆と野生の掟に従い訪れる別れ（2）。
＜br /＞ 大熊をも倒したという勇猛果敢なタキの話（3）。
＜br /＞ 人と驚くほど意思を通じ合わせることのできたノンコのこと（4）。
＜br /＞ 北海道の美しく過酷な大自然の中でそれぞれの犬と刻まれる4つの物語。
＜br /＞ 野生みなぎるノンフィクションの名作。
＜/p＞ ＜p＞解説／角幡唯介。
＜/p＞ ＜p＞■内容＜br /＞ 1 クロ　鶏小屋の侵入者／野犬の群れ／夜の山道／旅立ち／別れのとき＜br /＞ 2 アラシ　山火事／吹雪の夜／山犬の群れ／夜襲／身近な出来事／吹雪の道で／山へ帰る＜br /＞ 3 タキ　働きもの／大きな足跡／毒矢／野辺送り＜br /＞ 4 ノンコ　悲鳴／心を読む／習癖／野性の戦い／離散＜br /＞ 解説＜/p＞ ＜p＞■著者について＜br /＞ 今野 保（こんの・たもつ）＜br /＞ 1917年、北海道早来町生まれ。
＜br /＞ 奥地での製炭業を経て、1937年から26年間炭鉱に勤務。
＜br /＞ その後、室蘭にて土木会社を設立。
1984年に事故で右手を負傷するが、入院中に左手で文字を書く練習を行い、その後、執筆活動を始める。
＜br /＞ 著書に『渓流の想い出』『染退川追憶』（以上、私家版）、『アラシー奥地に生きた犬と人間の物語』『羆吼ゆる山』『秘境釣行記』がある。
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